東京大学 海洋アライアンス 日本財団

Achievements海域利用の合意形成

東京大学海洋アライアンスでは、「海洋の利用に関する合意形成手法の開発」という研究プロジェクトを、公益財団法人・日本財団の助成を得て2014年度から進めてきました。世界的な流れである「海洋空間計画」に基づく海の利用計画を日本にも取り入れるには、どのような点に注意する必要があるのか。それを、国内外での調査や文献の精査などを通して明らかにしようと努めてきました。その成果をまとめたものが、このガイドラインです。

このガイドラインは、海の利用に関する利害を調整し、実際に利用計画を決めていく主体となる地方自治体を、主な読者として想定しています。国際連合の政府間海洋学委員会(IOC)による手引書を参考にし、海域利用の合意形成に至るまでの具体的な作業が明確にわかるよう、本文では留意すべき点を段階ごとに整理して示しました。それぞれの留意点について一般論にとどまらず、私たちの研究成果を盛り込み、それに基づいた記述としました。この点が本ガイドラインの最大の特徴です。IOCの手引書も邦訳し、要約版を掲載したほか、研究成果については、さらに詳しい解説を「コラム」として収録しました。

このガイドラインが、海と関わりながら地域で暮らす皆様の一助となるよう、切に願っております。

「海洋の利用に関する合意形成手法の開発」プロジェクト
プロジェクト長:東京大学大気海洋研究所 教授 道田 豊

海洋利用に関する合意形成プロセスに係るガイドライン(2017年)

プロジェクトの成果

海洋を利用する際に生じる様々な利害関係。海を利用するときには、そこに関わる人々の思いや価値観によって、円滑な利用ができないことは多々あります。そのようなときにどのようにして、利害関係者が納得のいくような合意ができるのか。そのことを科学し、手法を編み出すための本プロジェクトは、2017年度まで活動しました。その活動成果のいくつかを紹介します。

Kanae Tokunaga, Hiroaki Sugino, Hideaki Nomura, Yutaka Michida Norms and the willingness to pay for coastal ecosystem restoration: A case of the Tokyo Bay intertidal flats. Ecological Economics, 169, 2020.

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