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魚病問題を考える会

近年、日本の漁業・養殖業生産量は緩やかな減少傾向が続いています。この減少には様々な要因が関わっていますが、魚病もその一つです。養殖では年間100億円程度の魚病被害が継続しているとされていますが、魚病対策経費、貝類や天然資源生物の被害は含まれておらず、被害総額はそれ以上に大きいと思われます。

そこで、養殖企業、都道府県、製薬会社、研究機関、大学などで長く魚病にかかわってきた方々から構成される「魚病問題を考える会」を開催し、5回にわたるオンライン座談会ならびにメールによる意見交換を行い、現在の魚病をとりまく状況について、防疫、予防・治療、検査・診断、養殖関係者などの知識・認識の四つの項目に分けて包括的に魚病対策が抱える問題点の抽出を行いました。

この結果は、「我が国における魚病対策の現状と問題点の抽出」として日本魚病学会の『魚病研究』誌で公表しました。(Fish Pathology, 56 (4), 220-225, 2021. 12)

以下、各項目で抽出された問題点をいくつか紹介します。

防疫

  • 輸入防疫に必要な海外の疾病発生の情報を十分に収集・整理し、必要な防疫体制を整備し、かつ都道府県や養殖関係者などと迅速に情報共有する仕組みが構築されていない。
  • 国内防疫に必要な国内での疾病発生の情報について、共有が進んでいない。

予防・治療

  • ワクチンや治療薬の開発について、生産量が少ない魚類はワクチンや治療薬の市場規模が小さく、開発には産官学の連携が重要であるが、連携が不足している。
  • 薬剤について、養殖業者が、必ずしも適切に投薬しているとはいえず、管理体制の強化が必要である。

検査・診断

  • 魚病の検査・診断は主として都道府県が行っているが、魚病担当者が人事異動により数年で交替することも普通で、十分な教育を受けていない職員が診断しなければならない場合がある。

養殖関係者などの知識・認識

  • 魚病対策は、国や都道府県の取り組みに加え、養殖業者が自主的に疾病の侵入・まん延防止、ならび対策を行うことが不可欠であるが、養殖業者は、魚病学や防疫対策などについて教育を受ける機会が少なく、特に防疫対策についての知識が不足している場合が多い。

「我が国における魚病対策の現状と問題点の抽出」はこちら

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