研究者発の海の話研究者発の海の話

島嶼(とうしょ)における海洋保護区のあり方と意義

竹富町 西表島西部地区の海

竹富町 西表島西部地区の海

日本は大小さまざまな島(島嶼(とうしょ))からなる島嶼国である。島嶼での暮らしは、海との関わりなくしては成り立たない。海を持続可能な形で利用しながら保全していくことが、島嶼での暮らしを維持していくには不可欠である。

近年、海洋の生物多様性や生態系サービス1)を確保する一手法として、海洋保護区(Marine Protected Area : MPA)の設定が推進されてきている。特に、海とのかかわりが密接な島嶼では、海洋環境保護と生物多様性保全を進めることと、そこにいる生物を水産資源や観光資源として利用することとの間で葛藤が起こりやすく、その解決には島嶼住民の意見を十分に反映させることが不可欠である。

ここでは、沖縄県竹富町を島嶼の一例とし、現地でのワークショップや関係者インタビュー等を通じて、島嶼におけるMPAのあり方や意義について検討した結果を紹介する。

(福代康夫)

(注1)生態系サービス:国連のミレニアム・エコシステム・アセスメントにおいて、生態系サービスは人類が生態系から得る恩恵であり、それらは人類の福利(安全、豊かな生活のための資材、健康、社会的な絆、選択や行動の自由)に影響を与えるとされている。
同アセスメントでは、生態系サービスを(1)食糧、水、医薬品原材料、遺伝子資源などの供給サービス、(2)気候調整や水質浄化などの調整サービス、(3)精神的充足やレクリエーションなどの場となる文化的サービス、(4)以上3つのサービスを支えるのに必要な栄養塩循環など地球上の生物生息環境を維持する基盤サービス、の4つに分類している。

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