研究者発の海の話研究者発の海の話

陸と海のつながりと海洋生態系

東京湾(船橋)の青潮 (出典:海上保安庁)

東京湾(船橋)の青潮 (出典:海上保安庁)

近年、地球海洋においては、ENSO等に伴う地球規模の海洋の自然変動が明らかになる一方で、経済活動の活発化によって人為的インパクトもますます増大している。人間活動の主要な場である陸域と海洋の接点であり、地球海洋の一部でもある沿岸海洋では、外洋摂動にともなう自然変動と人間活動による経済活動の双方の変動に大きな影響を受けている。

これまで、赤潮や貧酸素水塊、漁獲量減少などに代表される沿岸海洋の生態系の問題は、陸域の人間活動の影響の側面が強調され、海洋の自然変動に伴う成分は無視されるか、一定とみなされてきた。これは、自治体等による海洋モニタリングが行政区分によって厳密に分割され、外洋から沿岸域に至る系全体としての観測システムが欠如しており、海洋自体の変動の影響を分離して解明するために必要な長期データが不足していたために、外洋摂動成分が沿岸海洋へ及ぼす影響を組み込むことができなかったためである。沿岸海洋の生態系を乱すことなく、陸域での経済活動が持続的に発展し続けるためには、海洋自体の自然変動成分と陸域の人間活動成分を適切に評価する必要がある。本研究では、人間活動と海洋をめぐる国内外の問題や政策情勢を調査し、人間活動と海洋の適切なバランスについて検討することを目的とする。

(高橋鉄哉)
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