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シンポジウムレポート

学内講演会「国際機関へのキャリアパスとインターンシップ」が開催されました(2024/7/6)

東京大学の大学院生を対象とする「海洋学際教育プログラム」の海外インターンシップ制度を学部学生などに紹介する学内講演会「国際機関へのキャリアパスとインターンシップ」が2024年7月6日、東京大学農学部の弥生講堂アネックスで開かれた。国連機関などで働く職員やインターンシップを経験した学生が、国際機関での仕事や体験を紹介した。

学内講演会

国際機関の職員らが東京大学の学生にその仕事を実感をこめて説明した「国際機関へのキャリアパスとインターンシップ(東京大学で)

海洋学際教育プログラムでは、海洋物理学や生物学、海洋法などの講義科目を用意し、海洋についての文理横断的な教育を行っている。広く社会に目を向けて海洋がかかわる問題を知り、その解決に向けた方策をみずから考える現場重視型の教育プログラムだ。海外インターンシップはその大きな柱になる制度で、毎年5人前後の学生を国連食糧農業機関や国連工業開発機関、ユネスコ政府間海洋学委員会などに、日本財団の支援により費用負担なしで実習生として派遣している。

国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所長の日比絵里子さんは「FAOと国連でのキャリアについて」のタイトルで講演した。国連機関のしくみについて説明したあと、FAOで働くには途上国で勤務した経験が高く評価されること、雇用は1年契約に代表される不安定なものであることを説明した。また、日本ではとかく敬遠されがちな「理屈っぽさ」は逆に強みとなり、即戦力となる確かな専門知識が求められることも強調した。

ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)として政府間海洋学委員会西太平洋海域小委員会(WESTPAC)に勤めるシュンルー・イン(Shengle Yin)さんは、東京大学で博士の学位を取得してから現在までの職歴を「若手海洋プロフェッショナルとしてのキャリア形成」として紹介。言語のスキルのほか、多くの文化と向き合い尊重することが大切で、自分の売りになる専門能力が必要だと述べた。

「国際機関への就職方法やJPO派遣制度について」のタイトルで講演した外務省の美土路昭一・課長補佐は、日本と国際機関との働き方のそもそもの違いに触れた。日本では今でも「採用は新卒一括」「終身雇用」「人材は内部で育成」が主流だが、国際機関では、「随時、中途採用」「空きポストがでたとき公募する任期制」「即戦力」が標準だと説明した。即戦力を認められるには専門性が必要で、最低でも修士の学歴と経験豊富であることを示せる職歴が物を言うという。

文責:サイエンスライター・東京大学特任研究員 保坂直紀

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