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学内講演会「国際機関へのキャリアパスとインターンシップ」が開催されました(2020/10/3)【動画があります】

2020/11/17

 東京大学の大学院生を対象とする「海洋学際教育プログラム」の海外インターンシップ制度を学部学生などに紹介する学内講演会「国際機関へのキャリアパスとインターンシップ」が2020年10月3日、オンラインで開かれた。国連機関などで働く職員やインターンシップを経験した学生が、国際機関での仕事や体験を紹介した。例年は学内のホールで開催してきたが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響でオンライン開催となった。

講演会のダイジェストを動画にまとめました。クリックするとスタートします。

 海洋学際教育プログラムでは、海洋物理学や生物学、海洋法などの講義科目を用意し、海洋についての文理横断的な教育を行っている。広く社会に目を向けて海洋がかかわる問題を知り、その解決に向けた方策をみずから考える現場重視型の教育プログラムだ。海外インターンシップはその大きな柱になる制度で、国連食糧農業機関や国連工業開発機関、ユネスコ政府間海洋学委員会などに毎年5~6人を、日本財団の支援により費用負担なしで実習生として2~3か月にわたって派遣している。

世界の飢餓撲滅に貢献するFAOインターンシップ

 国際連合食糧農業機関(FAO)の和田満美・人事官は、参加者に「もっとどんどん日本からインターンシップに来てほしい」と呼びかけた。

 FAOはローマに本部があり、世界140か国以上に事務所をもつ国連の組織。食料や農業に関する専門機関だ。戦後の飢餓のなか、1945年に設立された。世界で暮らすすべての人々が栄養のある安全な食べ物を手に入れ、健康な生活を送ることを目指して活動している。

 和田さんによると、FAOの仕事は、人間の活動を維持しつつ、よりよい世界を目指す国際的な目標「持続可能な開発目標(SDGs)」とも密接に関連している。FAOの最大の目標である飢餓撲滅は、まさにSDGsの2番目の目標「飢餓をゼロに」であり、それが1番目の目標「貧困をなくそう」を支えている。このほか、6番目「安全な水とトイレを世界中に」、14番目「海の豊かさを守ろう」、15番目「陸の豊かさを守ろう」など多くの目標にFAOの活動が関係しているという。

 FAOが学生などを有期で受け入れるプログラムには、「インターンシップ」「ボランティア」「フェロー」の3種類がある。「インターンシップ」は、大学院の学生を中心に大学生、既卒者などが3~11か月の期間で働く。年間400人ほどが採用され、7割が女性だという。今年は新型コロナウイルスの感染拡大で、受け入れが少ない。インターネットを利用したリモートワークも可能だが、和田さんは「リモートワークは推奨していない。やはり、現地の人と一緒にいろいろな所を回り、自分で見て聞いて体験してほしい」と話す。「ボランティア」は高校を卒業した18歳以上が対象。「フェロー」は大学などの研究者が高度な研究活動を行う。

 これらのプログラムの競争率は高い。年間の応募者は1万5000人を超え、狭き門だという。東京大学の海洋学際教育プログラムとは別枠で提携しているので、その履修生は採用の可能性が高まる。

 和田さんは、国際機関で働く体験を通して、本人の能力が高まるだけでなく、その知識や新しいアイデアを途上国などを対象としたプロジェクトで生かせるという。また、国際的なものの見方を磨くことができ、多くの専門家と知りあってその国際ネットワークに触れることが将来のキャリアにとって大切だと強調した。

インターンが現場の即戦力になるSEAFDEC

 マリノフォーラム21(東京都中央区)の渡邉英直・代表理事会長は、水産庁勤務時代にFAOや東南アジア漁業開発センター(SEAFDEC、本部・バンコク)などの海外組織で働いた経験をもとに、「日本の水産業は国際貢献できるポテンシャルがとても高い。FAOでもSEAFDECでも日本とは違う環境を経験できる。トライしてみる価値は大きい」と話した。

 日本は排他的経済水域が広く、亜寒帯から亜熱帯にいたるさまざまな生態系を利用して水産業を営む経験をもっている。渡邉さんによると、海況予測の技術も高い。また、日本では、漁業者が自ら組織する漁業管理組合が中心となって水産資源を管理している。これは世界的にも特筆すべき管理体制で、とくに開発途上国では有効な管理システムだという。さらに、日本では小規模漁業者の割合がきわめて高い点。これは他の先進国に例がなく、支援に対する開発途上国側からのニーズは、とても高い。

 渡邉さんは、FAOでの勤務経験で得た実感をもとに、日本との環境や文化の違いについても語った。まず、国連機関で正職員として採用されるには、英語やフランス語、スペイン語、中国語などの国連公用語のうち二つが堪能でなければならないこと。たとえば中国人は、もうひとつ英語が話せればよいので、採用されやすい。それ以外の東南アジアの人には語学のハンディキャップがあり、アジア地域の統計や分析は不十分だ。国際的な論文の数も少なく、FAOの職員が日本人の研究者をよく知っているとは、かならずしもいえない。また、FAOの専門職レベルは「下を育てよう」とはしないという。下が育つと、自分の地位が危なくなるからだ。インターンシップでも、自分がそこでどれだけ貢献できるのかをアピールしなければならない。厳しい環境だ。

 東南アジア諸国連合の国々に向けて日本が水産技術の開発支援をしているSEAFDECは、やや雰囲気が違うという。日本の大学生がもっている知識でも、それを使って一緒に仕事ができる環境が整っている。だから、「こういうことをやりたい」としっかり伝えれば、戦力としてインターンシップを行える可能性がある。いくつかの日本の大学も技術支援に協力していて、そこから学生がやってくる。各国の大学生との交流もできる。ただし、専門職はFAOとおなじく下を育てようとはしないので、自分のやりたいことを強く自覚する必要がある。

インターンシップの先にある正職員への道

 外務省国際機関人事センターの中野美智子・課長補佐は「インターンシップの先にあるキャリアとして、国際機関の職員を目指してみないか」と話し始めた。

 国際機関での働き方は欧米型の転職市場だ。終身雇用ではなく、あるポストが空くと、その一つのポストに対して一人が任期付きで採用される。つまり、即戦力が求められる中途採用で、異動や昇進は基本的にはない。別のよりよいポストを求めて、2年くらいで転職していく。

 そのときに重要なのが「専門性」だという。日本の企業では、いろいろな分野に異動して経験を積み、ゼネラリストの道を歩むことが多いが、国際機関では、「わたしは何々の専門家です」と専門性を売りにしてポストを移っていく。実力主義であり、大学のネームバリューや性別は関係ない。ほとんどの場合、修士号は必須。それに2年以上の職歴を合わせて、専門家としての説得力をもたせる。職歴は国際的に活動する機関で積むことが多いが、民間企業でも、人事、財務といった部署で高い専門性を身に付けられれば、それが生きることもある。

 ワークライフバランスは尊重されている。実力主義なので、成果を上げる働き方を自分で工夫できる。育児と仕事の両立を重視している点は、女性にとって重要な点だろう。国連で働く日本人職員の6割が女性だ。

 国際機関に就職するには、大きく分けて三つの方法がある。まず、空席の公募。これがもっとも基本的な採用方法だ。ポストが空くと機関のウェブサイトに掲載されるので、要件さえ満たせば、だれでも応募できる。一つのポストに世界中から応募が集まるので、競争倍率はつねに数百倍にもなる難関だ。

 もうひとつが、日本の外務省国際機関人事センターが実施している「ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)」という制度だ。外務省が費用を負担して国際機関に派遣する。派遣期間は原則として2年間で、正規職員とおなじ勤務経験が得られる。その間に上司から仕事ぶりを高く評価されれば、次のポストを得やすくなる。1年で50~60人が派遣されている。応募者は300~400人くらいになるが、空席の公募よりは倍率が低い。国連機関に勤める日本人職員は現在912人で、このうち半数近くはJPOの出身者だという。受験には大学院の修士号と2年以上の職歴が必要で、35歳の誕生日までは何回でも受けられる。

 このほか、国連が試験を実施して合格者名簿に掲載するための「国連事務局ヤング・プロフェッショナル・プログラム」がある。ポストに空きがでた場合、掲載者の中から選考される。

 国際機関に職を求めるには、まず、情報収集が大切だ。外務省国際機関人事センターのホームページ(https://www.mofa-irc.go.jp/)や国連の「UN Carees」(https://careers.un.org/lbw/Home.aspx)が参考になる。そのほか機関ごとに募集ページがある。優れた英語力も必要で、TOEFLだと105点、IELTSは7.4点が目安。JPO合格者の7割は海外の大学院を修了しているという。

 このほか、海外インターンシップを経験した修了生2人が、国際水路機関、国際海事機関での仕事や暮らしについて紹介した。

(文責:サイエンスライター・東京大学特任教授 保坂直紀)

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