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深海温泉から表層へ旅する貝の幼生

2017/08/17

深海の熱水噴出孔周辺には、バクテリアによる化学合成生産に支えられた、貝類・甲殻類・ゴカイ類などからなる特異な動物群集が存在します。熱水域は互いに離れて分布し、また比較的短命で不安定な環境です。よって、熱水固有の動物種が個体群を維持するためには、何らかの方法による熱水域間の長距離移動が必須と考えられます。


今回、東京大学大気海洋研究所の矢萩拓也研究員と狩野泰則准教授らの研究グループは、沖縄と伊豆・小笠原の熱水噴出域(水深442-1227m)に生息するミョウジンシンカイフネアマガイを対象に、幼生の飼育実験を行うとともに、地理的分布と集団間における遺伝子交流の程度を調べ、海洋での分散機構を検討しました。


その結果、同種の幼生は、太陽光が届く水深帯(200m以浅)まで泳いで浮上、植物プランクトンを食べて成長し、表層海流にのって長距離を分散することが明らかになりました。また、表層水温が、はるか深くに生息する熱水域動物の地理的分布を規定している可能性が示されました。これは、化学合成群集の生態・進化に関わる新たな仮説であり、熱水噴出域と光合成環境の物質循環にも新たな視点を加えるものと考えられます。


矢萩拓也(東京大学大気海洋研究所)
渡部裕美   (海洋研究開発機構)
小島茂明(東京大学大気海洋研究所)
狩野泰則(東京大学大気海洋研究所)


詳しくはこちら:http://www.aori.u-tokyo.ac.jp/research/topics/2017/20170725.html

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