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【海洋アライアンス・日本財団共同シンポジウム第3回開催報告】
2010/04/15

海洋アライアンス・日本財団共同シンポジウム第3回

「食卓に迫る危機--次世代に海を引き継ぐために--」


2010年3月12日(金),海洋アライアンスと日本財団は共同シンポジウム「食卓に迫る危機―次世代に海を引き継ぐために―」を開催した.当シンポジウムは2009年6月から全3回シリーズで行われ,今回はその最終回となる.第1回,第2回では,海の現状を知り,30年後の食卓を予測するために様々な観点から討論を行ったが,今回はその集大成として,水産資源を持続的に利用するための方策を議論した.

 

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興味深い内容に耳を傾ける参加者(演者は,松本金蔵氏)


始めに松本金蔵氏(イオンリテール株式会社水産グループマネージャー),八木健一郎氏(三陸とれたて市場取締役),和田一彦氏(株式会社亀和商店代表取締役社長)により,現場における様々な取り組みの紹介があった.

 松本氏は水産物店頭販売に関する新しい取り組みについて発表した.イオンでは2008年秋から島根漁連などと連携し,定置網に入った魚を全量買い受け,都市部の店舗で販売している.松本氏は「今まで取引されなかった魚まで無駄なく消費されるようになり,限りある資源の有効利用に貢献している」と述べた.

 続く八木氏は産地と消費者をつなげる取り組みを紹介した.三陸とれたて市場はインターネットを利用した水産物の通信販売を行っており,ライブカメラを活用して水産物が漁獲される様子などを消費者に提供している.八木氏は「産地と消費者をつなげることで,消費者が水産資源の持続的な利用に,今まで以上に関心を示すようになるだろう」と期待を表した.

 また和田氏は水産エコラベルについての講演を行った.エコラベルとは環境に調和した形で漁獲された魚を認証する仕組みで,このエコラベルを築地で初めて導入したのが亀和商店である.和田氏は「エコラベル製品を購入することで,一般の消費者も海の環境保全の後押しをできる」と強調した.

 続いて東大から八木信行氏(農学生命科学研究科特任准教授)と木暮一啓氏(海洋研究所教授)が登壇した.八木(信)氏は「資源の保全には生産・流通・消費のすべての段階において,連携が必要である」と経済学の観点から論じた.また,木暮氏は生物学の立場から,環境容量が存在するため養殖を無制限に増やすことができない点に触れ,海洋生態系や生物多様性,養殖の在り方などについて議論した.

 続いて全講演者による総合討論が行われた.参加者から寄せられた質問を中心に,ワシントン条約や食文化,教育など幅広い内容が論じられ,参加者の関心を集めた.

 

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幅広い内容が議論された総合討論

 

 最後に長光正純氏(日本財団常務理事)が登場し,「日本財団としては引き続き大きな関心を持って,海洋問題に取り組んでいきたい」と述べ,閉幕となった.

 当日は約100名もの参加者が訪れ,熱心に聴講した.集まった参加者からは「流通現場の話が聞けて良かった」「現状を知り興味を持つきっかけとなった」といった意見や,「これから具体的にどうしていくのか」,「専門的な立場だけでなく,消費者の結集した力が必要」といった現実的な意見も寄せられた.当シンポジウムは今回で終了となるが,多くの人にとって,水産資源の現状やその持続的な利用について考えるきっかけとなったのではないか.海洋アライアンスは今後も大学の知を共有する場を積極的に設け,海のシンクタンクとして問題に取り組んでいく所存である.


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